アブラムの召命 創世記第12章
第一章:神の声を聞く
夜空には無数の星が輝いていました。
その下でアブラムは神の声を確かに耳にします。
「あなたの国、親族、そして父の家を離れ、私が示す地へ行きなさい。」
神はさらに語りました。
「私はあなたを偉大な国を築く者とし、祝福します。あなたの名を大きくし、あなたが祝福の基となるようにします。そして、あなたを祝福する者を私は祝福し、あなたをのろう者を私はのろいます。地上のすべての人々が、あなたによって祝福されるのです。」
神の言葉はアブラムの心に深く響きました。
アブラムはその瞬間、自分が神の大いなる計画の一部であることをはっきりと感じたのです。
「主よ、私はどこへ向かえばよいのでしょうか。」
この計画の大きさに戸惑いを感じながらも、心には不思議な確信が生まれていました。
それは、神の導きに従えば、新しい未来が開けるという希望です。
アブラムはこの召命を受け入れる決意を固めました。
翌朝、彼は妻サライと甥ロトにこの計画を話しました。
「私たちはこの地を離れ、神が示してくださる地へ行きます。」
その言葉にサライは驚きつつも、夫を信じて静かに頷きました。
一方、ロトも新たな冒険への期待を胸に秘めていました。
こうして、その後、アブラムの召命に応える形で、家族は新たな旅の準備を整えました。
そして、彼らの希望と信仰を胸に、未知の地へ向けて第一歩を踏み出したのです。
第二章:ハランからカナンへ
旅の途中、彼らはハランを後にし、広大な荒野を越えて進みました。
砂埃が立ち上る道中、アブラムの心には神の言葉が何度も響き渡ります。
しかし、新たな地での試練への不安も拭えませんでした。
それでも彼の信仰は揺るがず、その希望が彼を支えました。
さらに、彼の胸には、神の約束に応えようとする強い意志が燃えていました。
「私はあなたを偉大な国を築く者とし、あなたを祝福する。」
その言葉が彼の希望を支えていたのです。
サライは、その道のりの過酷さに不安を抱きつつも、夫であるアブラムを信じ続けました。
同時に、これまでの生活を手放す悲しみと、新しい地での未知の可能性への期待が心の中で交錯していました。
「本当に神が示す地は存在するのでしょうか。」
彼女の不安を感じ取ったアブラムは優しく語りかけました。
「サライ、神は必ず私たちを導いてくださるから、安心してください。」
シェケムのモレの木に到着したとき、神は再び現れました。
「この地をあなたの子孫に与えます。」
アブラムはその言葉に感動し、この地に祭壇を築いて感謝の祈りを捧げました。
第三章:ベテルとアイの間で
旅を続けるアブラムたちは、ベテルとアイの間の丘にたどり着きます。
そこで彼はまた祭壇を築き、主の名を呼びました。
その場所は静寂に包まれ、神聖な祈りの場としてふさわしい静けさに満ちていました。
「主よ、この地でもあなたの御名を讃えます。」
アブラムの祈りには、信仰と感謝が込められていました。
一方、サライは遠くの地平線を見つめながら、まだ見ぬ未来に思いを馳せていました。
第四章:飢饉と信仰の試練の中で
その後、カナンには飢饉が訪れました。
食料が急速に尽き始め、家族や従者たちの不安が広がる中、アブラムはエジプトへの避難を決断します。
エジプトに入ろうとして、その地に近づいたとき、アブラムは妻サライに言いました。
「君は本当に美しい。エジプトの人たちが君を見たら、きっと『あれは彼の妻だ』と言って、私を殺して君を連れて行くだろう。だから、私の妹だって言ってほしい。そうすれば、君のおかげで私は無事でいられる。」
彼女はアブラムを守るため、苦渋の決断を受け入れました。
エジプトに入ると、サライの美しさがすぐに人々の目を引きます。
ファラオの使者たちは彼女を宮廷に迎える準備を進めました。
サライはその知らせに驚き、不安に包まれながらも、アブラムの計画を信じました。
ファラオはサライを見てその美しさを称賛し、彼女を宮廷に迎え入れました。
そして、ファラオはアブラムも厚くもてなし、多くの羊や牛、雌雄のろば、男女の奴隷、さらにはらくだを与えました。
サライの心には恐れと信頼が入り混じり、静かにその役割を受け入れる覚悟を固めました。
しかし、神はサライを助けるためにファラオの家に災いをもたらしました。
その結果、サライがアブラムの妻であることが明らかになります。
怒りを露わにしたファラオはアブラムを呼び出し、問い詰めました。
「なぜ真実を語らなかったのか!なぜ彼女があなたの妻だと教えてくれなかったのだ!私は彼女を自分の妻にしようとしてしまったではないか。さあ、ここに彼女がいる。連れて行き、この地を去るがよい!」
ファラオの命令により、アブラムとサライはすべての財産を持ってエジプトを後にしました。
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